蛙声爺の言葉の楽園

. 医者と床屋は「馬が合う」を基準に選ぶ


 ほかのブログを訪ねたとき、理髪の話にコメントで参加しました。じつは私、伊東に住所を映してから三軒「バーバー」を換えたあと、現在の11年続いている店に定着しました。「浮世床」ではありませんが、床屋さんは話し好きが多い印象ですが、いまの女店主もお客と明るくおしゃべりをしながら仕事をします。それだけなら長年通ったりしないのですが、スピードが速く、且つこちらの「注文」にピタリと合わせてくれるのです。何でも彼女の亡夫が、生きていれば私と同じ歳なのだそうです。もっともそれで良くしてくれるわけではないでしょうが、とにかく感じがいいのです。チョキチョキやっている最中に、常連の人がちょっとした差し入れをしてくることも多々あり、彼女の人柄に対する周囲の好評価を実感したりします。
 余所はいざ知らず、とにかく伊東は理容店が多いらしく、「競争」もはげしいとか。娘さんと二人で住んでいますが、店は彼女1人で切り盛りしています。私も毛髪があるうちはずっと通う予定です。
 そうそう、いろいろ談笑しているうちに私が小説を趣味にしていることが話題になり、現在は上梓した4冊の単行本が小さな「待合所」に並んでいます。順番を待っている間に読んでくれるお客もいるそうで、挟まれている「栞」も確認できました。嬉しいものですね。

 「馬が合う人を選べ」とアドバイスをくれたのは同級生の医師で、床屋さんではなく「内科医」に関してでした。彼は横浜の開業医、私は伊東在住。「通院可能な範囲で馬が合う医者を探すのが一番」だというのでした。外科的な観察も処置もしない内科では、医師と患者の意思の疎通が不可欠です。問診、触診、打診、特に問診は最重要かと思いますので。いまも診察室から漏れてくる両者の会話を聞いていると、ほとんど他愛もない内容です。でも、その中にこそ「信頼」の共有があるのでしょうね。
 私も糖尿の治療でそういう医者を見つけました。もう7年目を迎えています。
 
 いずれにせよ、人と人との出会いはたいせつですね。



     付き合う?


       「つきあってみる?」 「はやく声かけろよ」


. すませました特定健診、健康は貯金と同じ


 6月1日から受診可能になった2018年度の特定健康診査に行ってきました。といっても、検査項目のほとんどが採尿、採血した検体の専門的な分析結果にかかるものなので、そのほかの血圧やメタボ判定のための測定が済めば早々と終わっています。私の場合、毎月の投薬を受けるための診察が別途加わりますので、それなりの所要時間になりましたが。
 特定健診の結果は1週間経過後に病院で確かめることが出来ます。

 実は私、数年前まではほとんど受けませんでした。受診しなければ市の負担をそれだけ減らせると考えていたのです。食後高血糖で通院していたことも理由の一つです。ところが市の実施率が一定の率を超えないと国からの助成金が減り、国保や市民に不利益が生じると判ったのです。「常習的に受診しない者」を啓蒙すべく訪問指導をしていた人に諭されて分かりました。因みに市国保の目標受診率は52%だそうです。「協力」出来て幸いでした。

 地方公共団体によって区々なのでしょうが、私の住む市では、男性である私に向けられた受診の奨めは、「検診」と名の付く主だったものでも以下のようになります。「胃がん」「肺がん」「大腸がん」「前立腺がん」「歯科」、さらに「健康診断」カテゴリに入る今回の「特定健康診査」、これとは別に「人間ドック」「脳ドック」などがあります。
 ここには「治療」から「予防」へと行政の目が広がったという流れがあるようです。罹患してから長期治療になるよりも予防する方が保険財政上の負担が軽いからです。市民としては「有難い」ことではあります。
 配布された広報には「健康マイレージ」の案内まであって、これにはさすがに市の真剣度が伝わってきたものです。

 いいと分かっていても受け損なう案内があります。例えば今年の3月末に私の生年月日に対応する助成金が終了した「肺炎球菌予防接種」がそれでした。病院の廊下に貼り出されていた2018年度の案内を見て知った次第です。もっとも、助成金の対象ではないのですが、自己負担で任意の予防接種は受けられるようです。
 ご存知のように肺炎は①がん②心臓病に次いで③位の死因ですが、その肺炎での死亡者の95%が65歳以上とのことです。私は71ですから、年齢的に罹患は「やばい」です。後悔先に立たず、ですが。

 それにしても健康は安上がりです。また、老後の備えとしての「貯金」と同じです。
 この2日間、身に染みてそう思いました。



    公園の亀



. この年で学ぶ俳句集からの文字と言葉


 先週土曜日に俳句の結社で主幹をしている知人から五巻目となる『句集・何』が送られてきました。早速鑑賞をはじめ、パソコンで目が疲れるたびに飛びついて読み、土日丸2日をかけて味わいました。全136頁、質の良い書籍用紙で1頁に5句ずつ配されたもので、俳人数は22と大勢でした。誰も居ない小さな部屋で1句ずつあたっていく静かな時間。何となく日々追われていた自分が解放されたような気になりました。

 今回ご紹介しますのは作品自体ではありません。鑑賞中にサッと読めなかった「漢字」と初めて見た「ことば」を並べてみようと思ったのです。齢71、これまで自分ではかなりの文章、作品に接してきましたが、この年になって学ばせてもらいました。机の脇に大辞典と大部の漢和辞典を置いて、その都度調べた時間。それもまた学校時代、独学時代を思い出して何度も頬をゆるめたものです。
 最後に感想をしたためて書簡にしましたが、今日はあいにくの雨。まだ投函には行けず、封筒はこのときも傍らにあります。作品そのものには触れていませんので、ブログの方が先になってしまった失礼は許していただきましょう。
 
 【漢字】「 」の中が苦労した読みです。
 「耿耿」こうこう。気にかかることがあって心が安らかでないさま。 「鵙」もず。おなじみは百舌ですね。 「魞」えり。これは漢字でなく国字でして、魚を入れて捕らえるしかけの種類でした。 「妣」ひ。なきはは。亡母ですね。 「料峭」りょうしょう。春の風が寒いことの形容でした。

 【ことば】
 「雪しずり」雪垂り、とも書く由。枝に積もった雪が落ちること。またはその雪。 「喜雨」きう。日照り続きのあとに降る雨。 「水馬」すいば。馬に乗って水の中を渡る術。 「目の子算」めのこざん。数量などを目で確かめながら計算すること。

 いかがでしたでしょうか。俳句には、現在めったにお目にかかることが無い、美しい日本語がたくさん使われています。言葉から季節が導かれる「季語」がそれをより一層優雅なものにしているのかもしれませんね。 
 

 長編小説進捗度 6月11日現在 400字詰×300枚 (予定550枚)


    光と水

     (再録) 水清くして魚棲まず。ただしいまはアユ解禁の時季、たくさんいるそうな。



. 70歳まで働いてもらいたいとは言うけれど(2)


 60歳、65歳で一区切りを終えた人が、まったく別の会社、職種、職場に対応することは現実問題として厳しいでしょう。本人の自己評価はこの際別にして客観的にみれば、知力、体力、気力の減退は否めないからです。最近見た何かの記事には、『40歳を超えた従業員からは新しいものは何も出てこない』などという経営者もいるくらいです。まして60代においておやということになります。一方で、人手不足解消の一助として高齢者にも働いてもらう必要があるという政府。ではどうしたら可能なのかという話になります。

 全産業的ではなく部分的な効果しか期待できないかもしれないのですが、『終身雇用』の復活が考えられます。 定年まで「現職」だった仕事なら冒頭の「障害」を最小限に抑えられるからです。(1)で町工場の熟練工を例に出しましたが、熟練度が命という「作業」を中心とする部署については特にお勧めだと思います。何も労働契約の基本方針を全社一律にする必要はないのです。
 もう一つ確認しなくてはいけないのは、ここにいわゆる「終身雇用」に「年功序列」という制度をくっつけないことです。そもそも「定年」の必要性は、高齢になり労働価値が低下しているのに賃金が高い、また地位まで高いので後進のやる気を削ぎ更新に支障が出るという弊害のせいでした。「愛社精神」や「全社団結」、「技術、伝統の承継」など高度で精緻な産業の発展に貢献したにもかかわらず国際化の中で衰退したこの『終身雇用』の復活。それはもしかしたら、「時代に逆行」ではなく、「時代の寵児」になれるかもしれません。

 新・終身雇用を可能にするには、「基幹賃金A」をきめる「作業」を絞り込む必要があります。そしてこの部分は終身保証しなければなりません。言い方を換えれば、一般定年後の報酬額はこの部分だけでいいとするのです。物価スライドなどは当然必要になります、なにせ半世紀にもなろうかという長丁場なのですから。就職から定年までの一般期間の「総合賃金T」は、このAに労働基準法が定義している「賃金」の中に入るものでA以外のもの「賃金B」を 加えることになります。例えばですが、役職手当、皆勤手当、特技・資格手当、家族手当、超過勤務手当。持ち家などで会社から住宅の貸与などを受けていないのに均衡上一定額が支給されるという意味での住宅手当もこの中に入ります。
 
 実はこの考え方に近いものが最近訴訟として問題になりました。原告の主旨は「同じ仕事をしているのに非正規雇用者の賃金が低いのは同一労働同一賃金に反する」というものでした。しかしこの「同じ仕事」の中身を詳細に分類・検討しないと「反する」かどうかは判定できません。原告の主張は上の「基幹賃金A」に当たるものが正規社員に比較して低いと限定する必要があります。役職が無い、所定の家族が無い、資格も特技もないなど、そういう人が「同じ仕事」なのに自分より高い賃金をもらっているのは可笑しいと訴えているかもしれないからです。きっと裁判所は、給与内容を精査すべきと指示すると思います。

 すこし広げすぎたかもしれませんが、要するに慣れ親しんだ環境と作業で70歳まで「現役」でいられるような制度作りが必要でしょうといいたいのです。所定の高齢者を一定期間雇用すれば助成金を出すというやり方だけでは、助成対象労働者を一定期間後に取り換えるだけで儲けようとする経営者を喜ばせるぐらいで、根本的な解決にはならないと思うのです。
 またこの考え方は、新卒者との労働契約だけでなく、中途採用や配転の場合でも同様です。
 長々と失礼しました。
 



      水車


        水車は自分の力で回っているのではありません  

. 70歳まで働いてもらいたいとは言うけれど(1)


 自分が71歳になって思うのですが、タイトルどおり、国の計画はなかなか難しいのではないでしょうか。
 日本人の平均寿命は、女が87.14で男が80.98です。これは2016年時の死亡率が不変と仮定してこの年の0歳児が今後何年生きられるかという数値にすぎませんが、いちおう最新のものとして使いましょう。政府は可能な限り70歳まで現役として働いてもらおうと考えているように思えます。すでに、厚生年金の「当然被保険者」は70歳未満の者としていますし、70歳以上でも所定の要件を満たす場合は、「在職老齢年金(高在老)」の仕組みから老齢厚生年金の支給停止の対象になっていて各種の届出を求められています。「当然」の文字が躍っていますね。また雇用保険でも65歳未満の「一般被保険者」の他に65歳以上の「高年齢被保険者」を創出しています。これらは1例にすぎませんが、視点を変えれば労働者保護にも映るこれらの狙いは、保険料はできるだけ長期間納付してもらい、支給総額は減らしたいということでしょう。
 
 よく言われていることですが、定年退職の年齢と年金支給開始年齢には5年の開きがあるようです。かつて55歳定年時代では60歳で開始、60歳定年では65歳で開始。現在がここですが、実は、就業規則で65歳定年とすることを求め、できない場合でも事実上65歳まで継続的に働けるようにせよという「縛り」ができていますので、現在は実質上65歳「定年」といっても過言ではありません。だとしますと、5年の開きを付けたいので年金支給の開始は70歳が目標になるのです。上で例示した法的な動きも「着々と」という感じを受けます。なにせ優秀な官僚のすること、目だたぬように少しずつ確実に歩を進めるわけです。

 少子高齢化が進み生産年齢人口が漸減して止まらないのですから、財政上仕方がないのかもしれませんが、何か見落とされているような気がします。今、男性だけで見てみましょう。70歳から平均寿命81歳まで10年ほどしかありません。大卒で半世紀近く働いても10年しか年金がもらえないとしたら、若者は何を考えるでしょう。また、70歳まで働けるかどうかは「平均寿命」から導くことはできません。百歩譲って寿命を指標にするなら「健康寿命」の平均値ではないでしょうか。ただ、実際にはここにいわゆる「健康」の定義自体が難しいので数値は出せないとは思いますけど。

 いくら国が欲しくても「70歳定年制」を採れる企業はほとんどないと思います。伝統工芸の職人、町工場の超熟練工など70歳定年どころか終身勤務すら歓迎される特殊分野は別ですが。定年についての議論は65歳で終わると思います。だからこその支給開始年齢の引き上げなのです。最後のチャンスですね、国の。いつかきっとやると予想しています。
 いまでさえ多くの場合、65歳から70歳までの空白の5年間を埋めるものはないでしょう。巷のコメントには「退職金」を取り崩してつなぐというものが多々あります。しかし公務員や大企業の社員だった人を除けば無理筋ではないでしょうか。 「雀の涙」から退職金ゼロまで底辺の裾野は広いと思います。
 つまるところ「自己責任論」から引かれる「預貯金額如何」に落ち着くのかもしれません。それで良いかは別個の問題として。

 

      アオサギ


      背を向けて、立ち姿がうつくしいサギ。これって何のこと?     

  
     
. プロフィール

蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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