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蛙声爺の言葉の楽園

. どう観る「ペンタゴンペーパーズ」


どうやらデートのようですね、8つの映画を公開している「ムービル」からシゲルと愛子が出てきました。欅の大木の下にあるカフェに入りましたので、後を追ってみましょう。
愛子がコーヒーとモンブランを注文しました。今日はどんな話でしょう。

シゲル『ちょっと疲れたかなあ』
愛子「うん、この手の作品は予備知識がないとのめりこめないものね、あ! わたしだけだよ、シゲルは別」
『同じだよ、ベトナム戦争なんてリアルタイムで見聞していない年齢なんだから』
「そうね、一つの作品として鑑賞する。もしかしたらそれが目を曇らせない一番の鑑賞法かも」
『観る人の年齢や政治思想、職業なんかでも180度印象が違うと思う』
「あー、たしかに国会での文書バトルに関連付けて使われそう」
『日本の国会のとベトナム戦争の機密文書とは問題のレベルが違いすぎるよ。なにせ4代にわたる米国大統領が30年にも及ぶ間、ひた隠しにした国防総省の機密文書だからね、この映画の対象は』
「ね、ね、最初から総括、総評みたいになってるけど、正直なとこどうだった?」
『愛子らしくないアバウトな質問だな(笑)』
「わたしから言うわ、じゃあ。2時間じゃ無理なテーマだと思う。なんか散らかっちゃった感じがしたのね、とくに前半。ナレーションで説明みたいなのが要ると感じたけどな。メリル・ストリープ演じるポスト社主のキャサリンがメインになっているからでしょうね、国家権力対新聞社という緊迫した対立構造が最後の方にしか出てこないの。裁判所関係でも現場での緊迫したやりとりが出てこなかったし」
『なるほど、顧問弁護士に説明させて終わったね。問題の大きさに比して緊迫感が予想外に薄いって感じたのは事実。キャサリンと編集主幹のベン(トム・ハンクス)との激しい論争があるかなと身構えてというか、楽しみにしていたんだけど案外静かで困った(笑)』
「スピバーグ監督の創作スタイルかもしれない。おとなの映画というか」
『お互いに相手の信念や苦衷を理解したうえでの理性的な対立構造として描いているってことか』
「面倒な言い方するわね、だけど、うん、そんな気がする」
『アマチュアに近い社主にジャーナリズムの意義を実践で教える海千山千の編集主幹』
「黒澤明も大好きだった師弟関係ベースの映画、たしかスピルバーグは黒澤を師として仰いでいたとかいうし、そうかも」
『面白いアングルだね、さすが映画通』
「のせても何にも出ないよ」
『おっ、コーヒーとケーキ来た。なんとタイムリーな』
「わたしがおごってもいいよ」
『いやいや、姫。そういう意味では、決して』
(二人の笑い)
『スピルバーグって反戦作家なんだなと思う』
「露骨には出さないでしょ、でも」
『うん、ちょっと拾っただけでも『リンカーン』『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』、それに今度の。みんな名作だし、監督じゃないけど製作で絡んでる『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』と、いろいろ』
「なるほどねー、すべてデート向きじゃない」(愛子、ケーキを頬張る)
『悪かったよ、色恋沙汰の映画じゃなくて』
「でも71歳とは思えないパワーだよね、イーストウッド監督もそうだけど、年取ってるのにいい顔してるのよ」
『恋する瞳だね、潤んでる』
「花粉だって。ばか」
『(コーヒーを飲み干して)なんだか辛口批評になったけど、さすがオスカー3回受賞のメリルと2回受賞のトム・ハンクス、うまいね。この作品を原語で理解できたらもっと印象が違うと思う。もちろん良い方へ傾く』
「いつかシゲルが言ってたもんね、実際のセリフの3分の1ぐらいしか字幕にできないって」
『うん、こういう作品は日本語吹替版で鑑賞したいような気がする』
「きょうはシゲルがまとめてください」
『君は、時の政権を敵に回し投獄されるとしてもそれを記事にできるか』
「よ! その君とはジャーナリストと呼べる人たち」
『行くか、そろそろ』
「まっすぐ我が家に送ったら怒るからね」
『そんなもったいないことしないよ、ほれバック持って立って(笑)』

*****ちなみに「私」の、この作品に対する満足度は5つ満点で ☆☆☆☆ です。今回もネタバレは避けています。


      伊東の海

 『政府から独立の報道機関が、社会のあらゆる部分から集めた多様な情報を国民に提供し続けることの方が、たまたまにぎった犯罪に関する情報を国家に提出させ、報道機関を捜査機関の下請け化するよりも、長期的に大きな公共の利益となる』
(米連邦最高裁判所少数意見・1972年)



comments
先だっては、素晴らしいコメントをいただきまして、とてもうれしかったです。
わたしたちの世代、と一括りにしてはいけませんが、
蛙声爺様もわたしも、親との間にかよう思い出は、それほどに少なく、だからこそ大切にしてはあたためる記憶かもしれませんよね。

今朝のシゲルの会話から、
わたしはシゲルが好きだなあって思うのです。

2018-04-08 09:46:03 | [編集]

852. 蛙声爺 さん
こんにちは。
こちらこそいつもありがとうございます。

シゲルと愛子の二人で字数無視の長い映画評をやったらどうなるのかなと、そんなことを考えています。
それにしてもいわゆる「ネタバレ」無しで書くのは難しいですね(^^♪
2018-04-08 11:12:50 | [編集]

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蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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