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蛙声爺の言葉の楽園

. 映画はお友だちというお二人さん、「空海」と「ドリーム」


 「シゲル居るぅー?」『(ドアを開けて)愛子、何か月ぶりだぁ、ま、入れよ』「(踏み込みでコートを脱ぎながら)ちょっと仕事に集中してた」『うそだろー(^^♪』
 というわけで、久しぶりにシゲルの部屋を訪れた愛子との間で、映画中心のおしゃべりが始まりました。ふたりの間がちっとも進展しないのは、以前のブログ記事のカテゴリ「映画」でもご存知のとおり・・・

『愛子、ココアでいいか、ポットのお湯だから少しぬるいけどな』
「うん、コーヒーはウチで2杯も飲んじゃったから、助かる」
『先週、話題の空海、観てきた』
「なに、一人で? ずるいじゃん」
『基本一人だから俺、映画鑑賞は。お前は別だけどな、連れがいると疲れるから』
「何より美味しいお茶うけだわ、そのセリフ」
『(マグカップを卓上において)ま、ほかに連れて行く女もいないし』
「(^^♪さびしい話はいいからさ、どうだったの、日中合作の超大作とやらは」 
『一口で言っちゃうと壮大なる駄作。いつものことだけどこれ、あくまでも個人の感想な』
「いいわよ、テレビショッピングの米印※みたいなコメントなんて、個人の感想を聞きたいんだし」
『では遠慮なく。主役の空海が何の活躍もしないでお飾り。空海の染谷将太だけじゃないんだ、阿倍仲麻呂役の阿部寛や端役に収まった松坂慶子の扱いも最低で、日本での客寄せを考えての起用なのが明々白々だった。ここんところはトム・クルーズ主演のラスト・サムライとは大違いさ。大金を投じてのオープンセット、8世紀の長安の街並みもさらっと映しただけ、あれなら手書きのマット絵でもいいだろと見ながら唖然としたよ。いやいやそれよりなにより、シナリオが全然だめで、物語が胸に迫ってこない。(ココアを啜る)だいいちこの映画の主役は空海じゃない、人間でもない。なんと黒猫だよ』
「まあ、よくそこまで話題作をぶっこなしたわね。たしか原作、夢枕獏よね、おもしろいはずだけどな」
『まさに、はずな。いいんだった猫で、結局。原題確認したら【Legend of the Demon Cat】つまり【妖猫伝】だった。なにが空海、美しき王妃の謎だよ、まったく』
「つまり日本市場向けのタイトル、サブタイトルってわけね、日本の有名俳優起用と動機は一緒と」
『一番気になったのは楊貴妃役の女優かな、たしかに綺麗かもしれないけど、城を傾け国を傾けるほどの美人、つまり【傾城(けいせい)】のイメージには程遠いと思うんだ、見た限り』
「ほほ、誰ならいいの、シゲルは。キャスティングマネージャーになりきってどうぞ」
『レッド・クリフで薄幸のヒロインを演じたリン・チーリンだな、初日に観たあと彼女は夢にまで出てきた』
「はいはい、でも確かもう42歳か3だよ、台湾の才色兼備のモデルさんね、たしかに女でもめまいがするほど綺麗だった、レッド・クリフのとき。シゲルとは別の意味で眠れなかったわ」
『はいはい、ジェラシーは時として最良のエネルギーですよ、頑張って。ところで愛子はなんにも観なかったのか? 映画中毒だから絶対観てるよな、いそがしくても』

「シゲルも観てると思うけど、アメリカ映画のドリーム。1960年代NASAの宇宙開発を支えた影の立役者たちの物語」
『去年のアカデミー賞で3部門獲得したやつな、観たよ俺もDVDで。黒人女性3人がメインだったけど、残念ながら名前全然わからなかった。で、同じ女性の目でどうなの感想は』
『うん。途中にね、カラードに対する不当な差別を直接上司にぶつける強めの台詞があったのよ、管理職志望のドロシーかな、長台詞でね。あれは映画によるメッセージ性を減殺するような気がしたの、わたし少し白けたかな。あんなふうに失職覚悟で言えるくらいなら、トイレひとつ白人と一緒に利用できないなどに代表される屈辱と忍耐の歴史が長くはないわけで、それまで所内で様々な差別に耐えてきたシーンは何だったのかと感じちゃって」
『でも、高評価だったわけだ、愛子の中では』
「え? なんで解かったの、そのこと」
『いまの言い方だよ、何年こうやってふたりで映画のおしゃべりしてると思う。愛子の気持ちの解釈はできるよ』
「ありがと」
『ん? ここ、お礼言うところか』
「なんだ、大して気持ちの解釈できてないじゃん」 
『(空の咳一つ) 3部門の中で脚色賞も受賞しているから原作本があるんだろうけどさ、黒人たちが白人の研究所員の作成した書類の検査・検算ともいうべき仕事をしている、その仕組みのところが物語的には飛ばされているような気がしたんだ。だから最後まですっきりしなかったな』 
「高度な検算をした、つまり大いに貢献したのに上司たちに功を独占されるシーンがたくさんでてくるのね。黒人差別だからって訴えているけど、これって、大きな職場環境では、上司の部下に対するキャリア・アップ妨害なんて日常茶飯事的にあるじゃない、白人同士だろうと、もちろん日本人同士だろうと、描き方に、ちょっと違和感をもったんだけど」
『こうやって話をしていると、いい映画だとは思えるよね、あれこれ観た人が批評したり討論をすること、それ自体考えさせられたってことだもんな、うん。それと観たあとで、つい思ってしまった、いま日本の宇宙開発もどんどん欧米に追い付いているんだなって。生意気に感慨無量になってさ』
「ははっ、まとめていただきました(^^♪」 
『何にもないな』
「えーっ、わたしの?」
『俺んちのこと、食い物がさ。外出て何か食べようよ、もっといろいろ話したいしさ』
「うれしい。あ、シゲルおごり(^^♪」
『はいはい。誘った方が払うのは常識だからね、恋人じゃなくても』
「恋人でもいいよ」
『・・・俺も、そう思ってるけど」

(ここからのシナリオは勝手にしてもらいましょう、さよなら) 



     流れ

   水も恋も、ときどきどっちを向いて流れているのか分からなくなるよね、 激しさと穏やかさの向きのこと


comments
837. 窓 さん
染谷君でしたか、ヘアスタイルがちょっと変、と思っていましたが、空海の扮装はとても似合ってますよね。

私は、愛子とシゲルは、このままベストフレンドのような結婚がいいなと思います。

ただ、二人の会話を見ていると、仲が良すぎて、心配です。
ここに、少し波乱というエッセンスを入れると、ぐっと近寄るような気がします。

例えば、シゲルがインフルエンザに罹り、肺炎を合併してしまう。
愛子が交通事故に遭う。
とかでしょうか。(^^♪

2018-03-07 20:49:41 | [編集]

838. 蛙声爺 さん
マアマア、愛子とシゲル、二人のことはそのうちそのうち(^^♪
何作品二人で観てあれこれ語ったでしょうね、この前私自身、カテゴリ映画をさかのぼってみました。こういう工夫をした動機は、一番最初は女二人だったんですが、視点を変えるには男女にするほうが・・・と考えが変化したんです。
レビューは観る人それぞれでいいと思うんです。感動して泣く人もいれば、舌打ちして上映途中で出ていく人もある。それで充分だと。
「なんか観に行こうかな」という気を起こせればベストですけど、どうでしょうか(^^♪
2018-03-07 21:20:40 | [編集]

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蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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