蛙声爺の言葉の楽園

. ペットのつもりか、三食を求めて来るチャッカリ野良猫


 プレハブの食事処で支度をしていると、サッシ戸の向こうに白と黒の模様がススッと動きます。朝昼晩と三回ともです。山梨の兄の山荘での出来事。すりガラス部分の上にクリアなガラスがあるのでソーッと見下ろすと毎度同じ模様の野良猫なのです。それは前回の8月末のことでした。

 今回の訪問でも同じでしたが、明らかに違ったのはこの野良猫の態度です。サッシ戸を開けると逃げるのではなく、チョコンと座っていて声とも言えない小さな鳴き方をして、真っすぐな目でこっちを見上げるのです。


     山の野良
       この写真は兄のブログ記事から拝借
     

 「なんだ、飯のおねだりか?」
 それにしては挑戦的に見えます。前回は我々の食べ残しをやっていた記憶がありますが、調理中に急かされるとは、これまた何というか。ところが、そこへ兄が来ると、猫は歯を見せて口を大きく開けて鳴きました。
 兄が手にしたのは透明な袋、中には茶色い豆のようなものがギッシリ詰まっています。Amazonの通販で買ったというキャットフードでした。
 時代だなと、私は驚嘆したのものです。こんな里山まで通販で猫の餌が運ばれてくるのですから。
 コンクリートの台の上に撒いたのに、猫はじっとして動かず、真っすぐな「ガンづけ」状態のままです。
 「食べないね」と兄に言うと、「戸を閉めると食うよ」と兄はサッシ戸を閉めました。
 サッシ越しに見下ろすと、食事に没頭しているノラの姿がありました。
 どこかで、くれた餌に飛びついたとたん頭でも強く叩かれたのかもしれません。シャイとか行儀がいいとかいう次元ではないような、つまりトラウマの臭いがしたものです。毎回同じパターンだというのですから。
 聞けば3食甘えながらも警戒を解かないとか。
 次の日、兄がなかなか姿を現さない状況下で私がキャットフードをあげましたが、同じでした。
 こんな山の中の猫にも辛い過去があったのかもしれません。
 いずれにしてもかつては飼い猫だったのでしょう。生来野良と違って、所作の端々に「気品」のようなものを感じました。

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蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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