蛙声爺の言葉の楽園

. 『何がめでたい』って、「・・・さあ」


 うっかりまた本屋さんに立ち寄ってしまい、ひょいと佐藤愛子著『九十歳。何がめでたい』を手に取り、パラパラッと覗き読みをしただけで買ってしまいました。これは作家の名に対する信頼でもあります。そのくせ、何度も終活としての断捨離で書物を処分していながら、「なんと方針がぶれていることか」と嘆く自分がいます。
 それはさておき、著者は1923年生まれの93歳、今年の11月5日には94歳になります。大阪生まれの直木賞作家、団塊世代にはお馴染の詩人サトウハチローは彼女の親戚筋です。家に帰ってから本の帯を見ると83万部売れたとありました。笑ったのはその周りの言葉で、『なぜこんなに売れてるの?かって―買った人に訊いてくださいよ!』
 なので、買った人「私」の読後感です。福山雅治の『ガリレオ』先生の名台詞ではありませんが、『じつに面白い』。
 「どこが?」ですか、それは「買って読んでくださいよ」と言いたいところですが、ここでは「文に芸があるところ」とだけ申し上げておきます。

 90と言えば「卒寿」ですが、これ90を漢数字で縦書きすると「卆」になるからですよね。ちょっと駄洒落の香りがしますので、点検しました。じつは70の「古希」までは論語などの古典に由来しています。問題はそれ以上の高齢の祝いで、ほとんど同じパターンなのです。77歳の「喜寿」は「喜」の略字「㐂」からきています。777歳ではありませんので念のため。「昔パチンコでいっぱい出てきて玉げたところから」などは妄想です。80の「傘寿」も傘の略字「仐」から、88の「米寿」は米を分解して八十八。99の「白寿」は「百」から上の「一」を取って「白」という字に、と言った具合です。うがった見方をすれば、『古来希なり』の70から先はもうシャレでしかないということなのでしょう。こじつけ感さえ覚えます。

 そういえば、60の「還暦」を別の言い方で「華甲(かこう)」と呼びます。70の祝い以前は古典が云々と褒めておいて何ですが、文字分解パターンでした。「華」は「十」が六つと「一」でできていて61なのでした。数え年61は満年齢で60です。私、酔狂な人間なので実際に「華」を分解してみました。「正解」、まるで漢字パズルでした。
 みなさんもお時間がありましたらお試しください。
 あ、「華甲」の「甲」は何?ですか。「干支(えと)の1番目」をいいます。

 『人は人、我は我ですよ』(佐藤愛子)、この言葉、とても意味深くて好きです。

 



     石の風格

        岩の風格はついた苔によって語られる




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蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
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