FC2ブログ

蛙声爺の言葉の楽園

. また一人旅立った


 二つ違いの兄が病死した。25日通夜26日告別式という俄かな葬儀のため急ぎ郷里の横浜へ向かった。車はやめて鉄道を利用したが、高齢になったせいか辿り着くまでが、かなり長く感じた。
 近親者の死に直面すると、人は急に「哲学者」になるらしい。体が眠りを欲しているのに頭だけが無暗に冴えてくる。
 24日夜は睡眠2時間、25日は同4時間半、帰宅してからの26日夜は5時間と睡眠不足が続き、かなり体力を消耗した。それでも「弔問外交」とでもいうのだろうか、普段会えない人たちと多少なりともお近づきを得た。
 急に下りて来た親族代表挨拶と遺影持ちの役に戸惑いながらもなんとかこなす自分。
 それにしても収骨室は心身に堪える。高齢者ならとくに「明日は我が身か」となぜか喉が渇く。
 「また寂しくなった」
 8人の兄弟姉妹の内2人が逝き、3人が葬儀に参列できない健康状態にある。
 帰りの電車内には、湘南の海を黙って見続けている71歳の私がいた。




    2羽の水鳥

        この子、水ばっかり飲んでる、つきあうのよそうかな

. 小室山つつじ祭り


 伊東市小室山のつつじ祭りの真っ最中なので、写真をあげておきます。「なんだい観光案内か」ですか。はい、たまにはお許しください。わたしたち夫婦にとっては食後の散歩程度の場所なのですが、現地駐車場での観察ではほとんどが県外車なんです。中には九州大分ナンバーの車もありました。さすがに北海道、沖縄は見たことがありませんけどね。
 つつじだけではありません。公園内の池には亀も水鳥もいて東屋でお弁当を楽しんでいる人もいます。
 いかがですか、あなたも。


     小室山公園のつつじ


     小室山公園のつつじ2



     小室山公園の池 



. 流れゆくものと動かざるものの狭間に


 『人間一生、誠にわずかの事なり。好いたことをして暮らすべきなり。夢の間の世の中に、好かぬ事ばかりして苦を見て暮らすは愚かなることなり』  (山本常朝『葉隠』)


 足をすくませ自分の中に自分を隠して動けない
 予想外だった「老い」の急流

 ほとんどの時間を自分のベッドの上で過ごすという長姉
 山の中で目を病みながら独り動き、活きようとしている長兄
 病院のベッド、呼吸器で命を保っている次兄
 老犬の世話と短歌の中で生きる糧を探している末の妹

 七人いる兄弟姉妹がすべて六十七歳以上という「いま」
 覚悟の「終末」の中に
 私自身が突然割って入ったことになる
 頭部打撲に因って強くなった認知症恐怖、膝の古傷の復活、継続する糖尿…
 もう誰も、もう何も、助けることができない自分
 役に立たなくなった自分
 そのことが心の中で最も重症なのだと、最近になって気づいた

 そう、私はただ、急流の中に立ち尽くしている
 なのに人は「君は前に向かって動いている」と言い張っている
 …不思議。
 
 


 
  動と静

     流ればかりを見ていると、動かぬものも動いて見える不思議



. 「女性専用車」問題で欠落している一つの視点


 男性数名が「女性専用車」に乗り込み、指摘を受けても指示されても退去しなかった問題を報道で知らされました。女性専用車の設置自体が男性に対する差別、専用車を出ていかない男性の方が女性差別と、またまた「差別」概念の解釈が右往左往しているようで、気が重くなりました。昔はもっと普通に立場を交換して、それぞれ行動していたような気がします。
 むろん痴漢行為(迷惑行為、強制わいせつ、公然わいせつ、暴行)は論外で悪質であることは当然ですが、上の問題は、そういった行為の発生を未然に防ぐための一策「女性専用車」に関してでした。

 「この車両は女性だけです!」という「宣言」には何の法的強制力もないとのこと。知らされ抗議された車掌をはじめとする鉄道関係者の注意は、「男性は出てくれませんか」という「お願い」の域を出ない由。寡聞にして私この理を、知りませんでした。もっとも法律や条例などで「一般的禁止行為」としたら「基本的人権」に抵触するとの議論になるかもしれません。その危惧からルールに罰則を付けられないのでしょうか。現行の専用車は女性用しかないのです。全くの私見ですが、列車の編成の中に「女性専用車」と「男性専用車」の両方を設置し、真ん中に「両性用車」を置けばよかったのです。そうすれば少なくとも「女性専用車」に乗り込む困った男性たちからの被差別発言は根拠を失うと思うのですが。

 「ばかおっしゃい! 痴漢から女性を護るためでしょ」 そう叱られそうですが、この痴漢という言葉そのものが、「漢」という字からしても犯すのは男となっています、これすらあいまいなのです。明らかに刑法の窃盗罪なのに「万引き」と称して罪悪感を減殺させているのと同じ理屈でよろしくありません。はっきり強制わいせつ、公然わいせつ、暴行など刑法犯として処理すべきなのです。
 ちなみにそう扱うことによって、刑法が強制わいせつ、公然わいせつ、暴行ともに加害者・被害者双方に付き男女を問うていないことと一致するのです。ちなみに被害者を女性、加害者を男性とすることを前提にして規定しているのは強姦罪・準強姦罪です。さらに刑法犯なら犯罪行為を立証する必要がありますので、疑いだけで社会的制裁という名の刑罰を受けるという「冤罪」も防げるのではないでしょうか。

 何を申し上げたいのかと言いますと、男性も「痴漢」の被害から護って初めて平等でしょうといいたいのです。俗に女性が男性に対して同様の行為を行うと痴女と称されるようですが、こちらの方はほとんど行われても表面化しないでしょう。いまここで「痴漢」の被害を受ける男性とは、冤罪に絡むものです。真実何もしていないのに「この人痴漢です」と現場で叫ばれ、突き出された「漢(おとこ)」の被害です。無罪の証明は「悪魔の証明」です。不可能です。最悪の場合、テレビで放映され、会社から解雇され、子供からさげすまれ、妻から離婚される。そのあとで「間違いでした」となっても元には戻れないでしょう。
 満員電車で通勤せざるを得ない男性たちが、上記の潜在的リスクを避けたいと思うとき、欲しいのはきっと「男性専用車」ではないかと、そんなことも想像した爺でした。
 
 ところで私も、冒頭の男性たちが何を訴えたくて「女性専用車」に居座り続けたのか、正確には知りません。それが報道されることもないでしょう。そもそも性別専用車を用意しなければならないこと。それ自体が、そういう世の中が哀しいとも言えます。お風呂やトイレとは全く異なる通勤電車なのですから。
 2020年、東京五輪で訪れる外国人が「女性専用車」を見て何を感じるでしょう。「すばらしい」でしょうか、「ばかみたい」でしょうか。知りたいところです。
 とりあえず先頭車両を「男性専用車」にしたらいかがでしょうか。なぜと異国の人に問われたら「男性は子どもと一緒で先頭車が好きなので」とニコッと笑って済ませられますし。
 一人の日本人として、もう少し深く考えてみたいと思います。
 今回のは、そう思わせるに足るニュースでした。



      亀ら目線

         亀ら目線。 かなり仲良しに見えました   

. どう観る「ペンタゴンペーパーズ」


どうやらデートのようですね、8つの映画を公開している「ムービル」からシゲルと愛子が出てきました。欅の大木の下にあるカフェに入りましたので、後を追ってみましょう。
愛子がコーヒーとモンブランを注文しました。今日はどんな話でしょう。

シゲル『ちょっと疲れたかなあ』
愛子「うん、この手の作品は予備知識がないとのめりこめないものね、あ! わたしだけだよ、シゲルは別」
『同じだよ、ベトナム戦争なんてリアルタイムで見聞していない年齢なんだから』
「そうね、一つの作品として鑑賞する。もしかしたらそれが目を曇らせない一番の鑑賞法かも」
『観る人の年齢や政治思想、職業なんかでも180度印象が違うと思う』
「あー、たしかに国会での文書バトルに関連付けて使われそう」
『日本の国会のとベトナム戦争の機密文書とは問題のレベルが違いすぎるよ。なにせ4代にわたる米国大統領が30年にも及ぶ間、ひた隠しにした国防総省の機密文書だからね、この映画の対象は』
「ね、ね、最初から総括、総評みたいになってるけど、正直なとこどうだった?」
『愛子らしくないアバウトな質問だな(笑)』
「わたしから言うわ、じゃあ。2時間じゃ無理なテーマだと思う。なんか散らかっちゃった感じがしたのね、とくに前半。ナレーションで説明みたいなのが要ると感じたけどな。メリル・ストリープ演じるポスト社主のキャサリンがメインになっているからでしょうね、国家権力対新聞社という緊迫した対立構造が最後の方にしか出てこないの。裁判所関係でも現場での緊迫したやりとりが出てこなかったし」
『なるほど、顧問弁護士に説明させて終わったね。問題の大きさに比して緊迫感が予想外に薄いって感じたのは事実。キャサリンと編集主幹のベン(トム・ハンクス)との激しい論争があるかなと身構えてというか、楽しみにしていたんだけど案外静かで困った(笑)』
「スピバーグ監督の創作スタイルかもしれない。おとなの映画というか」
『お互いに相手の信念や苦衷を理解したうえでの理性的な対立構造として描いているってことか』
「面倒な言い方するわね、だけど、うん、そんな気がする」
『アマチュアに近い社主にジャーナリズムの意義を実践で教える海千山千の編集主幹』
「黒澤明も大好きだった師弟関係ベースの映画、たしかスピルバーグは黒澤を師として仰いでいたとかいうし、そうかも」
『面白いアングルだね、さすが映画通』
「のせても何にも出ないよ」
『おっ、コーヒーとケーキ来た。なんとタイムリーな』
「わたしがおごってもいいよ」
『いやいや、姫。そういう意味では、決して』
(二人の笑い)
『スピルバーグって反戦作家なんだなと思う』
「露骨には出さないでしょ、でも」
『うん、ちょっと拾っただけでも『リンカーン』『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』、それに今度の。みんな名作だし、監督じゃないけど製作で絡んでる『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』と、いろいろ』
「なるほどねー、すべてデート向きじゃない」(愛子、ケーキを頬張る)
『悪かったよ、色恋沙汰の映画じゃなくて』
「でも71歳とは思えないパワーだよね、イーストウッド監督もそうだけど、年取ってるのにいい顔してるのよ」
『恋する瞳だね、潤んでる』
「花粉だって。ばか」
『(コーヒーを飲み干して)なんだか辛口批評になったけど、さすがオスカー3回受賞のメリルと2回受賞のトム・ハンクス、うまいね。この作品を原語で理解できたらもっと印象が違うと思う。もちろん良い方へ傾く』
「いつかシゲルが言ってたもんね、実際のセリフの3分の1ぐらいしか字幕にできないって」
『うん、こういう作品は日本語吹替版で鑑賞したいような気がする』
「きょうはシゲルがまとめてください」
『君は、時の政権を敵に回し投獄されるとしてもそれを記事にできるか』
「よ! その君とはジャーナリストと呼べる人たち」
『行くか、そろそろ』
「まっすぐ我が家に送ったら怒るからね」
『そんなもったいないことしないよ、ほれバック持って立って(笑)』

*****ちなみに「私」の、この作品に対する満足度は5つ満点で ☆☆☆☆ です。今回もネタバレは避けています。


      伊東の海

 『政府から独立の報道機関が、社会のあらゆる部分から集めた多様な情報を国民に提供し続けることの方が、たまたまにぎった犯罪に関する情報を国家に提出させ、報道機関を捜査機関の下請け化するよりも、長期的に大きな公共の利益となる』
(米連邦最高裁判所少数意見・1972年)



. いい加減に女優いじめやめませんか


 ほめたり、けなしたり、持ち上げすぎたり、足引っ張って落としたり。こんなことは「浮世のならい」といえばそれまでですが、ここ数年激しくなっていると思われる「主演女優責任論」はみっともないのでやめませんか。
 男優なら、テレビドラマが大コケしたり、映画の興行収入が伸びなかったりしたときに、責任を押し付けていいと言っているわけではありません。ただ、女優の場合、度が過ぎているような気がします。

 ドラマや映画を創っているのは主演女優だけではないでしょう。それ以前に、企画、制作、キャスティング、制作予算など諸々の担当部署かあり、なにより原作原案、脚本、演出など創作者がいたはずなのです。ところが放映、公開が始まり、視聴率や興行収入が予想外の不振に終わるやいなや、必ず出てくるのがこんな主張・分析です。嫌になるほどネットで読みました。曰く「もう彼女では数字はとれない」「もう限界か」「賞味期限切れかな」と。つまり予想に反した結果の「戦犯」は主演女優にあり、俺達私達にはないという論法ですね。

 一方の女優は、これからのことも考えると抗議もできない、明確な否定はかえって印象が下がるなどと、口をつぐみがち。それが予想できるので戦犯扱いする側は堂々と、あるいは陰に回って攻めまくる。
 一言で言うと「ズルイです」
 もっとも、名前を出しても誰だかわからないスタッフよりも女優の名を出した方が記事が売れるというマスコミ判断から、こんな風潮になっているのかもしれませんが。しかしそれもまた「うーん・・・」ですよね。

 
 ※具体例を挙げないと説得力がないとは思いますが、知らない人に伝える結果になって、かえって女優さんに失礼になると考え直した結果です。ご了解を。  


      野に咲く菫

         厳しい環境下で小さく咲くも「華」、よく根付きましたね
     
. プロフィール

蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

. 最新トラックバック
. 2015年9月26日からのご訪問
. フリーエリア
. フリーエリア
. 検索フォーム
. ブロとも申請フォーム
. QRコード
QR