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蛙声爺の言葉の楽園

. 私見ながら今年のテレビ連続ドラマ3作品を選んでみた


 師走まであと10日あまり、今年もたくさんの連続テレビドラマが放映されました。全部視たわけでもないのにとは思いますが、私的に非常に良かったものを3つ選んでみました。もっともかつてご紹介した作品が顔を出すことになってしまいますが。それは今年の前半に力の入ったドラマが集中したせいではないかと思っています。ちなみに視聴率ランキングではありません。私的にと申し上げる所以です。

 『アンナチュラル』(TBSテレビ)
  脚本野木亜希子。主な出演者は石原さとみ、井浦新、市川実日子。不自然死の謎を解いていく「UDIラボ」所属の法医学者たちの活躍を描く作品。1話完結の事件と全10話を通しての謎解きが巧みに編まれている。
 ほとんどスッピンに近い石原さとみ、井浦新の怪演など話題性にも富んでいた。
 東京ドラマアウォード2018連続ドラマ部門で優秀賞、脚本賞、演出賞、主演女優賞などを受賞し、主題歌賞では米津玄師の『Lemon』が選ばれている。
 脚本の勉強になるので各回2度ずつ鑑賞している。この脚本には原作が無く野木亜希子のオリジナルだが、作品の出来不出来は脚本で決まるという黒澤明の言葉を思い出させてくれた。ドラマ舞台の性質上専門用語が氾濫しているのだが、それを登場人物の台詞の中に包み込んでいて、素人でも知らず知らずのうちに納得させられる。小説でも脚本でも、細部(ディテール)がきちんとしていなければ「ドラマ」は崩壊してしまう(新藤兼人)という教えを確認できた作品でもある。

 『anone』(あのね)(日本テレビ)
 脚本坂元裕二。主な出演者は広瀬すず、田中裕子、小林聡美。稚拙な偽札造りを絡めて社会的弱者の蠢きを描き、家族とは何かという問題点をも浮き彫りにする。正直なところ「重い」印象である。
 広瀬すずがこの作品のために髪をショートにして「よごれ役」に挑んだとして注目された。
 この主演女優を使った4枚組ポスター写真に、広告写真家協会アワード優秀賞が贈られた。ネットでポスターを見たがなるほどと思った。夢を持てない虚ろな目、人を癒す優しい目、内に秘めた攻撃的な目、それらを括ったのが少女ハリカなので。 
 2018年3月度月間賞(ギャラクシー賞)受賞。すこし珍しい賞だが、カンヌで開催された国際見本市(MIPCOM)でグランプリもとっている。これは海外のトップバイヤーが買いたい、リメイクしたいとして選出するもの。
 この作品は平均視聴率6.1%と伸び悩んだ。視聴率と作品の質は必ずしも一致しないことを教えてくれたように思う。軽々に主演女優叩きなどはしないことだ。いずれ恥ずかしいことになるからだ。
 ただ偽札造りを絡めたのは感心しなかった。街の印刷屋が流通を前提とした日本銀行券を作れるわけがない。世界で最も偽札を作りにくい紙幣として有名なのだから。

 『ブラックぺアン』(TBSテレビ)
 脚本丑尾健太郎。主な出演者は二宮和也、内野聖陽、竹内涼真。『患者は生かすが、医者を殺す』とまで評された天才外科医渡海征司郎。未熟な医者の執刀時の危機を救う代わりに退職を迫り、その退職金をせしめる謎の医師を二宮が怪演している。見たたことも無いような最新医療機器が視られるのも加点材料だ。
 ただ、病院の「裏側」をえぐった作品には秀作が多い。『白い巨塔』や『無影灯』、『孤高のメス』などがそれだ。今回の作品の意義は手術に関して、医療の機械化か医師の技量かという選択について問題提起をした点に特質があるように思われる。
 それでも筆者は毎回2度、鑑賞をし続けた。もちろん見逃しの「TVer」(ティーバー)でだが。

 ちなみに今年後半の連続ドラマでは、まだ未完ですが、新垣結衣主演の『獣になれない私たち』であることをお知らせして、この稿を閉じたいと思います。(3作のご紹介の部分は、です・ます調の文にしていません、ご了解ください) 
 
 

      柿
 
        狙った構図、ミスしてカメラアングル少し下げ過ぎ



. 秋のカマキリから、なぜか「女」へ


 のっけから秋のカマキリの画像で失礼します。

   秋のカマキリ


 いえね、出遭ったんです、秋10月で比較的低温の日だというのに。場所はいつも健康維持のために散歩をする湖の周遊路。足元に居たので飛びのくようにしてからジッと見たわけです。その瞬間からやや小さめのカマキリは凍り付いたように動かなくなりました。めずらしいのでデジカメを手にして可能な限り「望遠」にしました。嬉しいことに動かないのです、彼は。いえ、小さいから勝手に雄だと決めたのですが。ポージングでもあるまいにとニヤリとして納めたのがこの写真です。
 なぜすぐに逃げないのでしょうね、8月でしたか、コーポの駐車場でペシャンコになったカマキリを見ましたが、きっとジッとしていたために踏まれたのでしょう、無防備なことです。人間が動く餌なら動きを止めて待ち伏せてもいいでしょうけどね。
 この現場で傍らのかみさんにカマキリのオスは交尾の際に比較的大きなメスに食われてしまうという話をしました。「え? うそ」と言われたことから「カマキリ女」の話になりました。

 黒澤明監督の最後のモノクローム映画『赤ひげ』の中で、若い医師保本登(加山雄三)が色情狂で殺人鬼の美女(香川京子)にたらしこまれ殺されそうになるシーンがあります。結論から言えば危機一髪小石川療養所長の赤ひげ(三船敏郎)に救われるのですが、この女のあだ名が「カマキリ女」だったのです。半世紀以上も前のこの大作、私は18歳でしたが、このカマキリの習性の件に関しては創り事だと思っていました。のちに本当だったと知って脚本家たちに脱帽したものです。必ず食われるのかと思いきや幸いにして食われないこともある由、なぜかホッとする私がいました。思えば本能で子孫を残すべくメスに挑み、勤めを果たしてバリバリとメスに食われて果てるオスはあわれです。もっともそれが産まれる子等の栄養になるならと「覚悟」の前なら或る意味見事なのですが。家、一族に処罰が及ばないようにと切腹して果てる武士にも似て。
 ところが子孫繁栄のためではなく、獲物が無い環境下での共食いは常態だとか。だとすると体の大きなメスに小さめなオスが食われるのは必定、こうなるとメスの行為に大義名分はなく、弱肉強食でしかありません。男の、いやオスの惨めさは筆舌に尽くしがたいものがあります。「え、人間界も大差ない?」 いや、それはちょっと・・・

 ケツロンを記せば、無防備に足の傍で固まっているオスのカマキリに私は、「はやく逃げろよ、ばか」と警告したのでした。
 暇なのでフッと思い出したのがカマキリという名の意味。『鎌を持つキリギリス』なのだとか。で、カマキリ女からキリギリスが出たところでまた話は飛びますが、ケリー・マクギリスというアメリカの女優がいます。セクシーでした、トム・クルーズ主演の『トップ・ガン』で女教官を演じた彼女。いまはもうシッカリお婆さんですが。作品の前後関係は忘れましたが、ベッドシーン一つ無いのに極上の恋心を離れ離れになる直前のキスシーンで見せてくれた『刑事ジョン・ブック/目撃者』でのマクギリス。いまだに「あれ」を超える恋の形を、映画で見たことはありません。その彼女が映画ではなく現実の世界でレイプされた経験をもつのは有名だとか。ジョディ・フォスターとのダブル主演だった『告発の行方』でマクギリスが地方検事補役を演じたのはその絡みもあったのでしょうか。これ、レイプされた女性(ジョディ)とともに加害者たちと「戦う」映画でした。

 女優さんはいいですね、きれいな姿をずっと人様に見せ続けることができます。だれですか、だから年をとればとるほど不幸になるとつぶやいたのは・・・

  

. 何となく気になる女優だった樹木希林


 名優樹木希林が逝って何日かになる。何日か憶えていないのが一番似合う人なのだ。いまでも観に行こう、あるいはDVDになったら借りて来て観ようという出演作品があるからかもしれない。しかも死に至る直前1年間に演じた作品なのだ。先ごろNHKで特集をしたので明らかになったが、『モリのいる場所』、『万引き家族』、『日日是好日』がそれだ。プロデュースも入れれば浅田美代子主演の『エリカ38』もあって4作品になる。きっと自らの「死期到来」を見詰めていただろう1年間に、現世でのやり残しがないようにと精力的に役者を全うした彼女の姿に、同じ高齢者として心震えるものがある。

 私にとっての樹木希林は長い間、「面白い脇役女優」でしかなかった。映画を観る目もかなり若さという未熟眼鏡をかけてのものだったのだろう。テレビドラマの『時間ですよ』や『七人の孫』、映画での『大誘拐』、『下妻物語』あたりの「立ち位置」だろうか。若くして老婆役が多かったのが印象に残っている。美人は美しく、不美人はそれなりに映るという愉快な富士フィルムのCMでは、毎度毎度笑った。アニメでアリエッティ一家を見つけて意地悪をするにっくき婆さんも声は彼女だった。

 文芸作品に出て異才を放つ彼女を観たのは『わが母の記』か。この後からだったろうか、是枝裕和監督や河瀬直美監督の作品の常連になったのは。『そして父になる』、『海街diary』、『海よりもまだ深く』や『あん』、『光』などがそれだ。ものの本によれば、この2監督は作品全体に関しての意見まで彼女に求めていたという。この辺りの話は名優の名に恥じない。

 2003年網膜剥離で左目失明。2013年全身癌告白。2018年大腿骨骨折で手術。これら病歴を知れば、彼女がどれだけ自分自身と戦い、その苦難を「演技にみせない演技」に昇華させてきたかを垣間見ることができる。前述のテレビの特集のなかで全身を癌に侵された自分の部位を示す図が披露されている。 それなのになぜあそこまで頑張れるのか、戦えるのか。やはり私は震えるのだ。享年75、早すぎると思った人は数多いるにちがいない。 

 こんな頭なので誰が彼女のことをこう評したのかは忘れたが、心に残った。
 高齢の女優が作品に出る場合、いかに実年齢より若く綺麗に見せるかにこだわり続ける。ところが樹木希林は全くそれが無い。求められたものに真正面からの役作りで応える。真の意味の「女優魂」を彼女の中に見る。
 合掌。




    
    大樹に光あれ

       言葉無く・・・
 
 

. 夕餉の「映画館」復活


 以前難聴のため夕食時にDVDを鑑賞をする「夕餉の映画館」をやめたことをブログ記事にしました。そこで「BGM」的な感覚で夕方のニュースショーを視ることになったのですが、各局とも嫌というほど続く半島関連問題、しつこい刑事3面記事、偏向報道、飽くなき飲み食い情報などでストレスが溜まり食欲が萎えて仕方がないので 、かみさんと相談の上DVD鑑賞を復活させました。とは言っても聴力が復活するわけもありません。そこで選ぶのは当面2種類になりました。48作ほどある『男はつらいよ』シリーズと、スタジオジブリの長編アニメ全作品がそれです。共通点は、すでに複数回鑑賞していて、完璧に聞き取れなくてもストーリーはほとんど問題なく把握できるということ。モニター画面を凝視しなければ筋が分からなくなるという心配もありません。

 再開してからだいぶ経ちますが、新しい発見もあり、けっこう「家内興行」的には成功しています。『男はつらいよ』は『水戸黄門』などと一緒で1作ごとの展開がワンパターンになっています。ここで身内とケンカをして旅に出るな、この辺でマドンナに出会うな、もう片想い、お約束の「事件」と失恋、そしてまた旅へ。結局その回のマドンナに興味があるという結論になります。シリーズでは4作品でしたかね、最多出場は浅丘ルリ子の「リリー」で内容もかなり濃密でした。このシリーズで単語を並べて特色をあぶりだしてみました。羅列で恐縮ですが、かえって納得されるかもしれません。甘え、お節介、身内、身勝手、請け売り、口喧嘩。一目ぼれ、勘違い、片想い、背伸び、照れ、見栄、臆病。文無し、地域社会、教養差、放浪癖。それでも観てしまう不思議。それが山田洋次マジックなのでしょう。私は「意図されたマンネリ」がマジックの種だと踏んでいます。

 ジブリアニメの方にも、個人的に見直し分類が起こりました。まず食事時なので避けた作品ですが、宮崎駿の『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』。実は私の中での全作品中の1位と2位なのでした。高畑勲の『ほたるの墓』も避けました。好きな順位で上昇してきたものもあります。宮崎の『耳をすませば』『風の谷のナウシカ』と高畑の『おもひでぽろぽろ』です。初見ではあまり評価できなかった宮崎吾朗『コクリコ坂』も急上昇しました。鑑賞している環境の差で変わるというのは面白い発見でした。

 それでも、ちゃんと鑑賞するにはパソコンでヘッドホンを使わなくてはならないことに変わりはありません、難聴ですから。となると、レンタルDVDではだめなのでした。図書館から借りてくれば大丈夫です。初めて知りました。
 年をとるといろいろ工夫しなければならないことが多くなりますね。
 



    小室山公園

      「花」が無くても美しいって、人間にも言えるのかな、寅さん
     


. 久々に見入ったドラマ『ブラックペアン』


 「昔」と言ったら局に叱られるかもしれませんが、「ドラマはTBS」と言われたことがあります。同じころ「民放のNHK」と評されてもいましたっけ。今はだいぶ様変わりしていますけど。その同局が放った「問題作」に触れてみたくなりました。日曜午後9時『ブラックペアン』がそれです。ご存知の通りペアンとは止血用の鉗子のこと、タイトルを見ただけで医療現場が舞台だと判ります。ちょうど、昔、米アカデミー賞の各部門でたくさん受賞した映画『クレイマー、クレイマー』の原題に、同じクレイマーの間に「バーサス: vs」があって、夫婦同士の裁判の話だと予測できたのと一緒です。

 名優や「怪優」がたくさん出ています。若い人たちは、竹内涼真(研修医)、葵わかな(新人看護師)、小泉幸太郎(新任講師)などに目が行くかもしれませんが、年配の人たちは内野聖陽(外科教授)、市川猿之助(他院の外科教授)、加藤綾子(治験コーディネーター)に注目でしょうか。爺の場合はこの二人でした。主演の二宮和也(外科医)、セリフも少ない脇役趣里(看護師猫田)。二宮は「嵐」のメンバーという顔も持っていますが、米国クリント・イーストウッド監督も認めた名優です。今回は得体の知れない悪魔的な「手術職人」としてドラマを引っ張っています。「困難な手術」的には「1話完結」ですが、この謎めいた彼の存在自体が「連続ドラマ」足りえていると言っても良いでしょう。猫田役の女優が、水谷豊の娘とは知りませんでした。個性的な風貌と謎めいた医局でのポジションにぴったりでした。二宮演じる医師渡海の腕に心服しているらしいことしか、4話までの間に知らされていません。解明はこのあとの展開でしょう。

 原作は海棠尊の小説『新装版ブラックペアン1988』 (講談社)の由、この作者『チームバチスタの栄光』の人でもあります。爺が「誰? このライター」と首を傾げたのは脚本家丑尾健太郎でした。失礼ですよね。耳が遠いせいで、最近よほど興味をそそられない限りテレビドラマを視ないものですから。この『ブラックペアン』も見逃し系のネットで、しかもヘッドホン使用でした。この人の以前の作品、レンタルビデオで観てみたくなりました。もっともこれほどのドラマでも「原作と違う」と非難と言いますか、ガッカリ感といいますか、出ています。これは私見ですが、原作(小説やコミック)Aとドラマ(映画も)Bは全く別の表現手段なのです。AからB、 BからAという流れの中で、たくさん見かける比較論はあまり馴染めないというのが印象です。

 このドラマの肝は手術シーンの圧倒的な臨場感です。それもそのはずで、医療の監修を2つの大学、2つの大病院が担当しているのでした。普段見ることができない特殊な空間に、また素人でも難しさが分かるようにと配慮され可視化された解説に、創る側の意気込みを感じたものです。

 連続ドラマの中で忘れられないシーンがありました。同時に実施された困難な手術、さらに早急に対応しなければその患者は死ぬというのも同じです。しかもこれに対応できるのは渡海医師のみ、彼は片方の手術の手を休めることなく周囲に言います。助けたい患者の命は2つ、こっちの体は1つ、「どっちを殺す?」と。究極の選択です、それを、手を下す技量のない医師たちに向かって吠えるのでした。「俺なら両方助ける」。渡海にはどうすればいいかが解かっていたのです。この2つのセリフはもしかしたら「医療の神髄」なのかもしれません。
 視点を変えて視ると、このドラマの人間たちは、それぞれに醜い。それゆえ真実に近いと感じるのです。不思議なことにだからこそ、突き詰めると「美しい」のです。デテール(細部)の正確さや医療現場のリアルさはあくまでもサブで、この醜悪な人間のドラマに奉仕しているだけ。そんな気がします。
 このドラマ、「アンナチュラル」に引き続き、全力でお勧めです。
 
 

     人間はみんな着ぐるみ

       可愛いぬいぐるみの中に「悪魔」がいるなんて「嘘」です



. プロフィール

蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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