蛙声爺の言葉の楽園

. 真っ赤なカレンダー


   土曜日が来た
   明日は日曜だ、カレンダーの数字が赤いから
   で、その次は月曜
   たしか月曜から金曜までを平日と言った。仕事というものをした気がする

   あの日、目を疑った
   変だ。月曜なのに数字が赤い
   あわてて目を滑らせると、土曜まで
   いや次の、その次のも、赤だらけ
   「定年」て、そういうことだった

   耳元で誰かがそっと教えてくれた
   「黒いマジックを買いなさい」
   そうか自分で、平日を黒く塗ればいいんだ
   『何だ簡単じゃないか』
   可笑しくて涙が出た

   無理だと知って、また笑った
                                         


       「元気出そう」って言葉いいよね、無いものは出せない道理だから、有るんだよ

      雲
         木の葉につかまろうとしている雲の哀しさ 



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. そういう齢。こういう私。

 


         『そういう齢。こういう私。』

     血糖値対策で5千歩以上歩いてから
     抹茶ソフトを食べる癖
     いつも並んでそうするから顔が見えない
     もう三十年も、一緒に居る

     一色の壁、パソコン画面、干したワイシャツ
     真っ白なものを見てしばらくすると
     うっすら黒いものが飛び始める
     昔の暗い記憶たちが、消えたばかりなのに

     ちょっと待ってと突然とめた
     「木漏れ日が遊ぼうと言ってる」
     えっ? と首を傾げ固まる連れあい
     近頃はこのすれ違いが、じつに楽しい

     メニューのトンカツから目が離れない
     なのに「豆腐ハンバーグの和膳ね」
     歯があと8本しか残っていない
     ふとO・ヘンリーの、「最後の一葉」が浮かんだ  
     



       「いっしょに遊ぼう」と、ふわふわな感じで木漏れ日に誘われた

      木漏れ日遊び



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. じいじのかくれんぼ


 『じいじのかくれんぼ』

     あれ、どこいった
     あれ、どこ置いたっけ
     あれ、買ってきたよなあ
     身のまわりのもの全部と、かくれんぼ

     このニュースいつごろのだっけ
     この映画みたっけか
     この人どっかで会ったよなあ
     世の中のこと全部と、かくれんぼ

     あれだけ好きだったのに
     あれだけ嫌いだったのに
     あれだけいっしょうけんめいだったのに
     あれこれ全部と、かくれんぼ

     だから見つける役やめてね
     くやしいから、さいごに
     だれにも見つけられないところへ
     かくれるんだ
     ずっとだよ、ずっと 



   法律を勉強したら、楽しいことが見えなくなっちゃってね爺。やだね、あられ。

     楽しいこと

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. 空に映えていた黄色い樹


      晴れた日に見上げていたら出だしの2行が出ました。昔に戻れない人たちに贈ります。

     黄色い樹
       *伊豆高原のとある駐車場にて*


               空に映えていた黄色い樹

     
     真っ青な空と
     ふたりの蒼さを重ね見ていたころ
     
     双樹の葉にはまぎれもなく艶(つや)があった
     こんなじゃなかった

     つないだ手はどこまでも熱く
     頬を冷たく撫でる風さえやわらげていた
     戻り来てもただ髪を小さく揺らすだけ
 
     心をあえて閉じて見ていた未来
     言葉にしなかった約束

     甘受した、時のいたずら

     ああ、黄色い樹が落ちてくる
     葉も枝も幹もつれて
     連理(れんり)なんてもともと夢だった

     だからもう、逃げなくていいんだ
     つないだ手はとっくに離れていたのだから



 カテゴリ「世の中」で時事問題を書いていたら、あまりにも暗い出来事が多くて中断しました。
 ネットで「マスゴミ」と揶揄されている報道の人たち、たまには「明るい」ものを探しませんか。いや、ふつうに穏やかでしょう、この国。犯罪発生率の低さも世界3位らしいですよ。現在の日本を暗黒街のように扱ってばかりいて愉快なのですか。
 昔はもっと報道が知的だったように思うのは私だけでしょうか。
 ああ、とうとう言っちゃいました(^^♪


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. i とh の間のc


 「岩漿」を編集していて初めて高島京の筆名で2ページの穴埋めをしたのが、この二つの詩でした。「京」は「みやこ」と読み、仮想の女性です。本格的に詩を創っている方の逆鱗に触れそうな創作態度ですが、「なりきり川柳」ならぬ「なりきりポエム」ですのでご容赦ください。

 
   『 i と h の間の c 』

   肉のつながりの痕(あと)に
   ぽっかりと洞(あな)があく
   吹き荒れる風をなだめて
   逃げてあなたの向こう側
   心澄ませば細波(さざなみ)の音
   目を閉じて ようやく自分(すべて)が見えたとき
   わたしが消えて
   むかしみた夢



           狂った階段



   『リーベの炎』

   破り捨てたはずなのに
   いまも心で読めるなんて
   くすぶっているのが嫌で
   燃え尽きたと決めたのはわたし
   黒くした紙の端が ときおり赤く耀(かがや)いて反り返る
   恐る恐るそれに触れれば
   責めるように
   ああ 熱い

 

 雨で身体を鍛えるわけにもいかず、やむなく「心」のトレーニングに行きました。
 小田原の東宝シネマズへ、是枝監督の『海よりもまだ深く』を観に。
 演技派の演技は演技であることを忘れさせる凄い技。樹木希林、阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー…見事に引 き込まれました。映画でなくてもいい映画、それが秀作の証。
「父の愛は山よりも高く、母の愛は海よりも深い」、家族愛についてあらためて考えさせられました。


 1番目のタイトルの心は「 ich 」(私)です。愛と性の間に何か入ると私(自我=イッヒ)になるという。謎解きのようなものが男女の関係に想えたのでしょう、20年近く前の当時。

 今日(5月28日)は、年に1度の岩漿文学会の合評会です。今回は10人ほど集まります。


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. プロフィール

蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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