蛙声爺の言葉の楽園

. 自分という名の他人


          『自分という名の他人』


     ずっと追いかけてきた
     夢だなんて思わずに

     なぜか恐れていた
     心に秘めた「病」を

     損得じゃないと
     かたくなに信じて
  
     いくら努めても
     誰も褒めはしなかった

     或る日、気がついた
     手には何も無いのだと

     お人よし、今更ながら止めてみた
     包んできたのは、寂しさか

     もう戻れないぞと
     誰もが嗤(わら)う 

     残されたのは――自分と時間



  行く手を阻む流れでも、 必ず渡河できる場所はある

       渡河
        *伊東大川上流*


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. すり寄ってきた、冬


 外に出たとたん上着のチャックを上げて亀の首にした。
 一夜で形作ったらしい蜘蛛の巣が外廊下で大きく揺れている。

 川沿いの道を歩き始めると、ついこの間まで涼し気に感じていた瀬音が寒かった。
 道端に群れていた濃い緑色の葉に目を奪われる。いや、そのそばの白い布切れにかもしれない。
 「花を取らないでください」と書いてある。
 あ、彼岸花。華がしぼみ、散った後に顔を出す「癖」があるこの子たち。それを護ろうとする近所の人の温かさがほの見える。
 見上げた空はあたかも雪国のそれ、墨絵の趣。
 見知らぬ散歩叔父さんの「おはよう」に、寝起きで重たい口が開く。
 「おはようございまぁす」
 返事をしたご褒美なのか、生け垣の1輪の白い山茶花が目の前に出てきた。
 垣根の垣根の曲がり角♪

 豪華なホテルの前の朽ちた居酒屋。はがれたベニヤが小刻みに踊っている。
 大きく曲がって道を進めば、赤みを増した柿の葉、まだ黄色くない蜜柑、足元で揺れる白いネコジャラシ・・・垂れながらも膨らみ始めたツワブキの蕾。
 さらに歩けば
 白い葉裏を見せて震えている崖の樹木。

 いつの間にかすり寄ってきた、冬。
 朝の散歩が、変った。


 明日11月4日早朝に山梨の里山に向かいます。
 きっと伊東よりも冬に近い景色になっていることでしょう。
 タートルネックの温かい衣料も2枚、荷物の中に入れました。


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. 老いの白日夢?


 「老いの白日夢?」

  歯磨きが歯茎みがきになる不思議
  地獄耳が空耳になった幸せ
  目利きが目危機に変じた一つの革命
  空は晴れ頭は霞の不可解
  嗚呼、青春の自慰、爺の凄絶
  預貯金のみが余貯金のみになる余生。

  それでもいいことあるさ
  ひどい心が広い心に。
  自分勝手がお勝手係に
  酒豪が酒乞いに。
  眠れない? もうすぐ永眠、気にするなよ睡眠負債、
  生を増やす眠れぬ夜に乾杯、冷めない夢に完敗。

  最期に婆が爺になって毒書三昧。
  どこかで極楽蜻蛉が誘ってる、
  笑えよ、『身一斗室の中に在るも眼は全世界を通観す※』?
  泣いてオヤスミ。。。

  


これ、理性でなく感覚で読んでください。
「もしかしてこの人ヘンじゃない」なんて思わないでくださいね(^^♪ 創作なので。
※印、中江兆民『三酔人経綸問答』からの引用です。
また削除した記事があります。お詫びします、タイトル残っているんですよね。

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      「きみ、かわいいね」 「へん! 欲しがったって、やんないよぉ」   
 

 
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. 「えせいすと」・似て非なる青春


 「似非(えせ)いすと」とはロマンチストなどとは違う「青春老人」のこと。先の無い空虚な時の中で遠い昔を眺めては、いまと大差無い時なのに、輝いていたと評価できる心優しい人のこと。
 「わたしの中に今も居るあなたが、心優しき人たちを斥けてしまうからといって、あなたのせいではありません。あの人がわたしを見つめる瞳の中にあなたの笑顔を見たら、今度もきっと、わたしはさよならの言葉を手にします。なぜって、わたしから言わなければ、あの人に、あの人の想いに悪いから。黙(もだ)したままに、哀しみだけが育つから。いいえ、あなたのせいではありません。ただあまりにも、わたしのあなたへの思慕(おもい)が強いだけのこと。ただそれだけのことなのです」
 ばらけた心のノートにある嘘つきな言葉に、精一杯のほろ苦さを味わおう。これに似た想いは誰にでもありそうだ。
 誰にとっても「昔」、それはパンドラの箱。
 甘ったるい風船を膨らませて摑んでいれば、きっと空へ飛び出せると思っていた季(とき)。あの愛すべき時の区分。遠ざかることで傷は癒え、汚点も昇華し、いつしか輝いていたとしか認識できなくなった青春。心老いた目にはそれさえも優しい。歳月の力を借りてやっとわすれてきたものを。鍵を壊し、固くなった抽斗を引いて、あなたは、皆は、何をさがそうとしているのか。
 誰もが同じだ。心の皺が顔の皺になって鏡に映るいま、苦汁をさえ取り出して何かを膨らませようとしている。
 つまり、それが心の「老い」だとも知らずに。
 見上げれば、明るい空に逢えるのに。 



 

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. プロフィール

蛙声爺

Author:蛙声爺
文芸同人誌編集をしています。
考えるフクロウが理想。
木内光夫のHPもよろしく。

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